小田急線沿線を中心に不動産事業を展開する小田急不動産。経営理念で「顧客感動」を第一に掲げる同社は、理念実現に向けてDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。その一環として、働き方改革を支えるモバイル化に着手。本社無線LAN化では、安定稼働とセキュリティを重視し、キャリアを含む複数社に提案を依頼。同社の視点に立った提案を高く評価し、一緒にプロジェクトをやりきるパートナーとして選択したのが、丸紅ネットワークソリューションズだった。技術力ときめ細やかな対応により、コロナ禍に対応するべく短期間構築を実現。同社本社において無線LAN環境が日常化する中、充実したサポートにより安定した通信環境の維持に寄与している。
| 会社名 | 小田急不動産株式会社 |
|---|---|
| 設立 | 1964年12月16日 |
| 本社所在地 | 東京都渋谷区初台1丁目47番1号 |
| 営業内容 | 土地建物販売業、土地建物賃貸業、仲介斡旋業、投資開発業、買取再販業 |
| URL | https://www.odakyu-fudosan.co.jp/ |
小田急不動産株式会社
経営企画本部 経営企画部
DX推進グループ
上席チーフ
麻生 佳弘 氏
導入の背景
1964年創立、小田急グループの総合不動産会社として地域の発展に寄与してきた小田急不動産。都心、ベッドタウン、観光地など多彩な沿線環境を生かし、不動産分譲業、不動産賃貸業、不動産仲介業、投資開発業、買取再販業など幅広い事業を展開。また、創立以来培ってきた不動産事業に関するノウハウとスキルをベースに、不動産の最適な運用方法を提案するソリューション事業など新しい不動産ビジネスの創造にも力を注いでいる。
同社は、経営理念(ミッション)の中で、「お客様に感動いただくこと(顧客感動)」を第一義に掲げている。理念実現に向けて、DXによる企業変革を推進中だ。その一環として、顧客感動の向上を目指す「顧客情報の活用」とともに、理念を具現化する従業員満足度の観点から働き方改革に取り組んでいる。働き方改革ではITの活用が欠かせない。
「2019年に全従業員に向けて示された、“在宅勤務など多様な働き方に応えていく”という方針のもと、IT部門では、いつでもどこでも仕事ができる環境整備の検討に入りました」と小田急不動産 経営企画本部 経営企画部 DX推進グループ 上席チーフ 麻生佳弘氏は話し、こう続ける。
「テレワークはもとよりBCP(事業継続性)の実現を目的に、業務PCのモバイル化を図るべくDaaS(Desktop as a Service)のサービス選定・検証を開始しました。またモバイル化を見据え、本社無線LAN化にも着手。従来、本社の社内環境は固定電話とノートPCが中心でした。社内会議でも紙の資料を配付して行うケースが多く、ノートPCを社内で持ち歩くという、文化自体がなかったと言えます。社内無線LAN化は、Web会議や、固定スペース以外での情報活用のニーズに応え、情報共有・コミュニケーション機会を創出する狙いがありました」
導入のポイント
「社内インフラを無線化するため、最も気になったのはセキュリティでした」と麻生氏は振り返り、こう話す。「無線LAN導入は初めてでしたから、従来の物理的接続がない環境のもとでどのようにセキュリティを確保するのかを重視しました。また安定稼働、短期間構築も重要なポイントでした」
キャリアを含む複数ベンダーの提案の中で、同社の期待に適っていたのは、ネットワークのエキスパートであり、マルチベンダーの丸紅ネットワークソリューションズだけだったと麻生氏は話す。「他社は、自社が薦めるパッケージ製品の説明が中心でした。“ツールありき”の提案でしたね。丸紅ネットワークソリューションズは、当社の要望や課題に真摯に耳を傾けたうえで、当社視点での内容となっていました。短期間かつ着実な構築を実現するために、細部を詰めたうえでのベンダー選定というよりも、当社と一緒にプロジェクトをやりきることができるパートナーとして丸紅ネットワークソリーションズを選択しました。丸紅ネットワークソリューションズは、当社においてスマートフォンおよびタブレットのOS更新用Wi-Fi環境の導入実績に基づく安心感もありました」
システムの概要
同社本社業務を支える無線LANのベストプラクティスとして、丸紅ネットワークソリューションズが提案したのは、信頼性の高い安定した通信を実現するシスコシステムズのクラウド型無線LAN「Cisco Meraki」と、不正ユーザーや持ち込み端末による無線LAN利用を制御するエイチ・シー・ネットワークス株式会社の認証サーバ「Account＠Adapter＋(アカウント アダプター プラス)」を組み合わせた内容だった。構成は、小田急不動産本社が入る小田急西新宿ビルの4階および6階から8階のオフィスに、Cisco MerakiのAP(アクセスポイント)19台、Cisco Merakiのスイッチ4台、Account＠Adapter＋(アカウント アダプター プラス)1台を配置。スマートフォンなどのOS更新も、MerakiのAPからマルチSSIDを利用して行う。
2020年に構築を開始したタイミングで、新型コロナウイルスの感染が拡大した。「暫定的に検証中のDaaSを利用し、在宅勤務を可能にしました。また、社内でもモバイルPCを快適に利用できる環境を提供するべく、丸紅ネットワークソリューションズに社内無線LANの構築期間短縮をお願いしました。」(麻生氏)
実質2か月間の短期間構築は、プロジェクトの充実度が高かったと麻生氏は評価し説明する。「丸紅ネットワークソリューションズの営業担当は、製品に精通しており、当社の疑問を的確に把握しプロジェクトのスムーズな進捗に配慮してくれました。また、同社PM(プロジェクトマネージャー)は、これまでに当社がご協力いただいたベンダーの中で最もきめ細やかな対応でした。その印象は今も記憶に残っています。例えば設定値に関して、標準値だけでなく、選択肢とその使い方、他社の例といったノウハウの提供など、構築プロセスの1つ1つに対して丁寧な説明がありました。納得感をもって進めることができたのは、今回の無線LANに対する信頼にもつながっています」
導入効果と今後の展望
同社の本社無線LANは、2021年8月に本稼働後、安定稼働を続けている。導入効果は、働くシーンの変化にあらわれていると麻生氏は話す。「重要なポイントは、働く環境の変化が働き方を変えるという点です。セキュアな環境のもとリアルな会議への参加はもとより、ちょっとした打ち合わせの際もモバイルPCを持参し、ミーティング用スペースや社員用カフェでコミュニケーションをとっている光景は日常的です。私が所属する経営企画部では、フリーアドレスのテスト運用を経て2023年度から完全移行しました」
同社が実施したモバイルPC導入効果のアンケート結果でも、「社内どこでも仕事ができる利便性に関して評価する声が多数ありました」と話し、こう付け加える。「定性的効果だけでなく、従業員一人一人の生産性向上、ペーパーレス化といった定量的効果にも期待しています」
業務を担う社内インフラでは、導入後の運用が重要となる。丸紅ネットワークソリューションズは、24時間のサポート窓口や死活監視、回線状況確認による安心のサポート体制で、安定した無線LAN環境の維持を支援。2023年7月には、本社内における無線LANの利用拡大に伴い、無線LANアクセスポイントの混雑状況の調査も実施した。
今後の展望について麻生氏は話す。「クラウド利用の拡大、Web会議によるグループミーティング機会増大や全社説明会の開催など、トラフィック負荷の増加傾向が見込まれます。ネットクワーク基盤の再構築を見据え、無線LAN環境の見直し・増強も必要です。丸紅ネットワークソリューションズには、これからも当社の「相談できるパートナー」としてご協力いただきたいと思っています」
「顧客感動」を生む空間の提供に注力する小田急不動産。丸紅ネットワークソリューションズは同社視点に立って総合力を駆使し、同社の持続的成長とともに地域の発展に寄与する。
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